田舎の6月初夏。
土の匂いと鳥の囀り、蛙や虫の鳴き声も夏のその景色に移ろいでいき、森の香りを胸いっぱいに吸い込んで楽しみます。
ご近所さんの多くは大なり小なり畑をしているのですが、その中でも特に驚いたのが、93歳で鍬を持って土づくりをし、草抜き、支柱たて、野菜の手入れ、収穫や処理まで全てほぼ一人でしているおばあちゃん。
足腰がしっかりしていて、畑の手入れも若い人に負けないどころか長年の経験によるものでしょうか、無駄のない自然の流れに合わせた絶妙なタイミングできちんと手入れされ四季折々の野菜を見事に育てているんです。
途方に暮れるような収穫や処理作業も黙々とこなすそのタフさ。
「リスペクト」
もうこの言葉しか出てこないです。
そしてこのおばあちゃんの作る料理がまた絶品で、栗ご飯は程よい甘さと弾力、優しい香りがふわっと広がり今まで食べたどれよりも美味しくて感動し、フキの佃煮やいりこの佃煮もシンプルな味付けでまたまた感動し、、素材の味や風味を最大限に引き出す術を完全に知っているんです。
もう本当に経験値が凄すぎて勝手に「先輩」と呼ばせて頂いているほど。
このパワフルな生命力は、過酷な戦時中を体験していることももちろんだと思いますが、地に足をつけ自然とともに日々の暮らしをしっかりと生きてきた人間だからこそ持ち得るものなんだということは明確でした。
私も縁あってこの地に暮らし始め、去年も極小規模で夏野菜を育てていましたが、やっと庭と向き合う時間ができたこともあり見様見真似で少しスペースを広げて再スタートさせることにした初夏。
もともと自然農や不耕起栽培に興味があったので、なるべく草は抜き過ぎずに適度にバランスよく刈っていく。その作業はまさに土壌の上と下に住む虫やそこに生える雑草と言われる草花と対話をしながら行う「共存をするための場づくり」と言えます。
日に日に夏の角度に近づき強さを増していく太陽の光を浴びながら土を触るということだけで、細胞に作用し生命力が内臓から湧いてくる実感があります。
畝を作り、土壌を落ち着かせて刈った草をマルチとして被せる。そしてそこへ一粒一粒種を巻いたり、近くで買ったものや知人からもらった苗をそっと植える。必ず雨が降りそうな前の日に行う。
もちろん最初は虫に刺されたり手がガサガサになったり筋肉痛になったりとやや痛い思いもしながらでしたが、無理はしない主義なのと街中では久しくお目にかかることの出来なかった虫達が生活する庭が面白く、今のところ女子一人での作業も楽しく進めることができています。
撒いた種は5月のうちに可愛い芽を生やし、6月に入ってからは夏野菜達が小さな実をつけてくれました。それは可愛くて可愛くて毎日話しかけています。
苗をから育てるのも成長が早くて嬉しいのですが、種から育てるのはより一層愛おしいものだなぁと感じたりしています。
夏野菜ではないですが、ミントが元気よく育ってくれていて間引きの作業が必要なほどになってきたので、最近すっかり習慣になった朝スムージーにミントを入れて爽やかに飲んでいます。
田舎暮らし。楽しいです。
小さな畑日記の続編はまた。
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